「30坪の土地で、どのような間取りを実現できる?」
「30坪の土地では、どれくらいの規模の家が建てられる?」

30坪の土地に家を建てようとするなかで、上記のようにお悩みではありませんか。

30坪の土地に建てる家をイメージするにあたっては、まず建ぺい率や容積率などの土地の建築規制を確認することが大切です。そのうえで、間取りや内装デザインを検討しましょう。

本記事では、土地30坪で実現できる家の規模や間取りのポイントを解説します。

30坪の土地ではどれくらいの規模の家が建てられる?

30坪の土地でどれくらいの規模の家が建てられるかは、その土地の建ぺい率と容積率によって変わります。

建ぺい率敷地面積に対して建築可能な建物の面積(建築面積)の割合
容積率敷地面積に対して建築可能な延べ床面積(すべての階層の面積の合計)の割合
建ぺい率・容積率のイメージ

建ぺい率と容積率は、用途地域や都市計画などにより、各自治体で上限が定められています。

30坪の土地で、仮に建ぺい率が70%、容積率が150%だとすると、建築面積21坪(約70㎡)、延べ床面積45坪(約150㎡)の家が建てられることになります。

ただし、容積率緩和の特例を駆使すれば、より広い家が建築可能です。たとえば、地下室やビルトインガレージは以下の条件を満たすことで、床面積が容積率の計算から除外されます。

項目容積率緩和の条件
地下室天井が地盤面から1m以内、かつ床面積が建物全体の延べ面積の1/3以下
ビルトインガレージ床面積が建物全体の延べ面積の1/5以下

これにより、延べ床面積約150㎡+地下室約50㎡(150㎡の1/3)+ビルトインガレージ約20㎡(150㎡の1/5)で、約220㎡(約66.7坪)の家が建てられるようになります。

なお、実際に家を建てる際は建ぺい率・容積率に加え、以下のような道路斜線や高度斜線などの、建物の高さ制限も考慮しなければなりません。

道路斜線接している道路の幅員にもとづいて計算する、道路側に面した建物部分の高さ制限
高度斜線敷地の境界線からの距離にもとづいて計算する、建物部分の高さ制限

高さ制限も建ぺい率・容積率と同様に、エリアごとに定められています。

住宅の規模は、道路の広さや方位、立地によっても左右され、正確な広さを自身で把握するのは難しいため、測量図を持参して住宅会社に相談してみるとよいでしょう。

土地30坪の家の間取りを検討する際のポイント

30坪の土地で理想の家を建てるためには、以下のようなポイントに留意して間取りを検討するとよいでしょう。

  • 空間が広く見える工夫をする
  • 間仕切りを減らす
  • 窓の大きさ・位置で開放感を演出する
  • 地下室をつくる
  • 屋上を活用する
  • 適度な収納スペースを設ける
  • 3階建ての場合は生活動線をどのようにまとめるかを事前に検討しておく
  • 車だけでなく自転車等をどこに置くかも事前に検討しておく

それぞれ詳しく解説します。

空間が広く見える工夫をする

土地30坪の家の間取りを検討する際は、空間が広く見える工夫をしてみましょう。空間が広く見えれば、室内がより明るく開放的な印象になるためです。

たとえばリビングの天井の一部を吹き抜けにして、上階とつながるように設計すれば、空間が縦に開け、面積以上の開放感が得られるようになります。折り上げ天井や勾配天井も、圧迫感が軽減され、ゆとりのある住空間を実現可能です。

また、床や壁の一部の内装に膨張色や後退色を取り入れることでも、空間に奥行きが出て、広く見せられます。

どのように空間を取るか、見せるかによって、室内の印象や雰囲気は大きく変わります。理想とするイメージや内装デザインに合わせて、方法を選択するとよいでしょう。

間仕切りを減らす

空間を物理的に広く取りたい場合は、間仕切りを減らすことを検討してみましょう。

間仕切りを減らすと、部屋と部屋がひと続きにつながり、広々とした空間がつくれます。また、家具の配置の自由度が高まることで、レイアウトの選択肢が広がります。とくに、リビングやダイニングなどの共用スペースで有効な方法です。

ただし、間仕切りが少ないと、耐震性や冷暖房効率が低下する懸念があります。そのため、高強度の耐力壁を設ける、断熱性の高い窓やサッシを選ぶなどの対策が必要です。

家の構造も耐震性・断熱性に影響するため、どの部分の間仕切りを減らすかは総合的に判断する必要があります。

窓の大きさ・位置で開放感を演出する

窓の大きさ・位置を工夫することでも、開放感を演出できます。

サイズの大きな窓を採用すると、視界が外へと抜けることで、空間がより広く感じられます。窓を高い位置につければ、視線を遮りながら光だけ取り込めるようになるでしょう。

大きな窓と吹き抜けの組み合わせもおすすめです。吹き抜けに大きな窓を設置すれば、高い位置から自然光が入り込むことで、1階と2階の両方に効率よく光を届けられます。

また、窓の大きさ・位置を検討する際は、廊下まで光を取り入れられるかも重要なポイントです。

廊下は窓からの光が届きにくいため、日中は暗くて閉鎖的な印象となってしまいがちです。窓の大きさと位置を工夫して、廊下まで光が届く設計にすれば、家全体がより明るく、開放的な印象になるでしょう。

たとえば、室内の廊下側の壁に採光用の窓を設置する方法があります。

地下室をつくる

居住スペースを増やしたい場合は、地下室を設けてみてはいかがでしょう。

前述の通り、地下室は天井が地盤面から1m以内にあり、かつ面積が延べ床面積の1/3以内であれば、容積率の計算に含まれません(※)。そのため、建築規制を遵守したまま、地上建物の空間を圧迫せずに居住スペースを拡張できます

加えて、高さの制限がないため、天井高を高くして開放感ある空間の演出も可能です。

地下室をシアタールームや趣味を楽しむプレイルームなどとして活用すれば、心理的にもゆとりのある住空間を実現できるでしょう。

地下室については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

※参考:e-Gov 法令検索「建築基準法

屋上を活用する

建ぺい率や容積率の関係で庭を確保できない場合は、屋上スペースをうまく活用しましょう。

屋上を設けて、家庭菜園やアウトドアリビングなどに活用することで、本来の居住スペースを圧迫せずに屋外空間がつくれます。

ただし、人が出入りしたり家具を置いたりするためには、それに耐えられるほどの十分な強度を確保する必要があります。木造や軽量鉄骨でも屋上はつくれますが、耐荷重は低くなりがちです。

そのため、高強度の構造躯体をもつRC(鉄筋コンクリート)住宅が向いています。

適度な収納スペースを設ける

30坪の土地でゆとりのある住環境を実現するためには、適度な収納スペースを設けることも大切です。

設計時にしっかりと収納スペースを確保しておかないと、将来ものが増えたときに住宅内がもので溢れ、狭く感じる可能性があります。一方で、収納スペースが多すぎても居住スペースを圧迫するため、ものの量や大きさ、ライフステージの変化に合わせて適所に収納を配置することが重要です。

たとえば、床下や階段下、屋根裏などのデッドスペースを収納として活用すると、居住スペースを削らずに収納力を確保できるでしょう。

アイテムを出し入れする場面や、生活動線を想像しながら配置を考えてみましょう。

3階建ての場合は生活動線をどのようにまとめるかを事前に検討しておく

3階建ての家にする場合は、生活動線をどのようにまとめるかをあらかじめ検討しておきましょう。

3階建ての家では、上下階の行き来が増えるため、どうしても生活動線が長くなりがちです。そのため、間取りや設備の配置を慎重に検討する必要があります。

たとえば、2階をリビングにする場合、キッチンや浴室、ランドリーなどの水回りも2階にまとめれば、家事・食事・くつろぎが集約されるため、生活動線がよくなります。そのうえで3階を寝室にすると、上階に部屋がなく音が響きにくいことで、静かで落ち着きのあるプライベート空間を確保できるでしょう。

一方で3階をリビングにすると、採光しやすく、天井を高くできるため、人が集まる場所に開放感が生まれます。ただし、階段移動が負担になることもあるため注意が必要です。

家族構成も考慮し、住宅会社に相談しながら理想の生活動線を考えましょう。

車だけでなく自転車等をどこに置くかも事前に検討しておく

30坪の土地で家を建てる場合は、車だけでなく自転車等をどこに置くかも事前に検討しておきましょう。30坪で車1台分の駐車スペースを確保した場合、残りのスペースが制限されて、自転車の置き場に困るケースがあるためです。

たとえば、ビルトインガレージを設け、自動車の横または奥に自転車を置くのであれば、ビルトインガレージの広さを多めにとる必要があります

自転車を玄関ポーチに置く、玄関土間に入れるなども方法の一つですが、いずれにしても入居後の暮らしやすさを考慮すると、設計段階で検討しておいたほうがよいでしょう。

山川設計における間取り工夫の実例

山川設計における間取り工夫の実例を紹介します。実際の間取りをチェックして、理想の間取りイメージを膨らませましょう。

実例1. スキップフロアで開放的な空間を創出した住まい

スキップフロアを活用した家(リビング)

台形の形をした狭小地で、スキップフロアを取り入れた事例です。

リビング部分の床の高さを下げ、スキップフロアとしたことで、天井の高い開放的な空間を実現しました。

スキップフロアを活用した家(ゲストルーム)

ゲストルームもリビングと同じく床をスキップダウンさせ、来客者にもゆったり過ごしてもらえるように設計しました。

土地の形を活かしたアールの美しい曲線は、RC住宅だからこそできる設計です。

実例2. 地下室によりゆとりある空間を実現した住まい

地下室のある家(地下室)

地下室を設け、ゆとりある住まいを実現した実例です。

土地は敷地面積30坪弱とやや狭く、土地の2面を囲む擁壁が今にも崩れそうでした。擁壁の再工事に多額の費用がかかるとのことで、山川設計にご相談いただきました。

そこで、地盤を道路と同じ高さまで一旦掘り下げ、掘り下げた部分を地下室とするプランを提案。結果、土地の問題を解消しつつ、開放的な住環境をつくることに成功しました。

地下室のある家(LDK)

地上建物のLDKには折り上げ天井を採用し、開放感を演出しています。窓に描かれたアイアンのデザインも相まって、室内に優雅な雰囲気が漂います。

実例3. 折り上げ天井と地下室で理想を叶えた住まい

折り上げ天井を活用した家(LDK)

こちらは、折り上げ天井と地下室を取り入れたプランです。「家時間を楽しみたい」との施主様ご夫婦の要望から、アクティビティ要素を詰め込んだ開放的な住まいを設計しました。

ポイントは、LDKは一部を折り上げ天井にし、開放感を高めている点です。各階の天井高を調整することで、厳しい高さ制限をクリアしました。

折り上げ天井を活用した家(地下室)

地下室は黒と白の大胆な配色にしたことで、地上建物とは打って変わり、遊び心ある空間になりました。

ゴルフの練習場やカラオケを楽しめるプレイルームなどがあり、ゲストも交えて楽しめる空間となっています。

まとめ

土地30坪の家では、空間が広く見える工夫をしたり、間仕切りを減らしたりすることで、広々とした間取りを実現できます。居住スペースを広く確保したい場合は、地下室や屋上を取り入れるのもおすすめです。

建ぺい率や容積率などの土地の建築規制を確認したうえで、どのような間取りにするかを検討しましょう。

間取りの設計でお悩みの場合は、山川設計にご相談ください。

10数坪の土地から100坪以上の土地まで対応できる柔軟な設計力で、お客様の理想を具現化します。建ぺい率や容積率などの建築規制を考慮しつつ、土地を最大限に活かした効率的な空間設計が可能です。地下室や屋上を有効活用した設計実績も豊富にあり、お客様の理想のライフスタイルに合ったプランを提案できます。

相談は無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。