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マンションと戸建てのどちらを選ぶべきか、どちらが得なのかは、バブル期以降から常に議論されてきた話題です。
今の住まいに大きな不満はないものの、「このまま賃貸で暮らすのがいいのか」「子どもが小さいうちに住まいを決めるべきか」と考え始める方も少なくありません。一生に一度の大きな買い物になるかもしれないからこそ、後悔のない選択をしたいですよね。
この記事では、近年におけるマンションと戸建て(土地+注文住宅)の資産価値の傾向に触れつつ、それぞれ優位とされている部分を比較しました。
【家はいつ買うべきなのか】マンションと戸建てどっちにするか、決断を急ぐべきなのか?
マンションと戸建てのどちらを選ぶにしても、購入するのであれば決断は早いほうがよいでしょう。物価上昇に伴う建築コスト増により、年々住宅の価格が高騰しているからです。

近年、建物の工事費単価は木造・鉄骨造・RC造のすべてで上昇傾向です。2023年から2024年の1年間では、工事費単価が8.0~17.4%上昇しています。2022年と比較すると、25.2~33.0%の高騰です。
今後も想定以上の物価高騰により、戸建てやマンションの価格が跳ね上がる可能性があります。たとえば毎年200万円を貯金して5年間で1000万円の追加資金を準備しても、現在と5年後では「プラス1000万円でできること」が変わっているかもしれません。
このような傾向を踏まえると、マンションと戸建てのどちらを選ぶにしても、早く購入したほうが得といえます。今後、この傾向が変化する可能性もありますが、少なくとも大幅に安くなることは考えにくいでしょう。
もちろん「住宅はあまりにも高い買い物だ」と考え、ずっと賃貸に住み続ける選択肢もあります。ただし、賃貸に住み続ける場合は、以下のようなリスクがあることを知っておかなければなりません。
- いつか住宅を購入したくなっても、年齢を重ねると住宅ローン審査に通りにくくなる
- 高齢になると賃貸契約がしづらくなる
上記のようなリスクも踏まえつつ、家をいつ買うべきなのか検討しましょう。資産価値や購入価値、資金計画を踏まえたうえで選択することが重要です。
長い目で見た資産価値はマンションよりも戸建ての方が有利な傾向
長い目で見た資産価値で比較すると、マンションよりも戸建て(土地込み)の方が有利です。参考として、首都圏における築年数ごとの価格低下率(※)を見てみましょう。

築15年時点での成約価格の下落率は、戸建てが6.8%なのに対し、マンションでは18.0%となります。マンションの場合、築10〜15年の間での下落幅が大きい傾向です。
築35年時点での成約価格をみると、戸建ての下落率が49.4%なのに対して、マンションの下落率は68.9%と、その差はさらに広がっています。長期的に見たとき、マンションは戸建てよりも資産価値が下がりやすい傾向です。
戸建てとマンションの資産価値の維持率を左右する要素の一つとして、土地代が挙げられます。
戸建て(土地込み)の場合は建物の価値が下がっても、土地代はほとんど下がりません。土地代が維持されることで、資産全体の目減りが抑えられます。
一方、マンションは土地を住人で按分するので、土地の価格が維持されても一人ひとりへの恩恵が少ないといえます。将来を見越してマンションもしくは戸建ての購入を決めるなら、この違いを把握しておくことが重要です。
※参考:REINS TOPIC「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2025年01~03月】」
戸建てよりもマンションの方が優位とされる部分
長い目で見ると戸建て(土地込み)の方が資産価値は高いものの、住宅はあくまで住む場所です。「購入してよかった」と思えるには、自分たちのライフスタイルにあっているかどうかが重要といえます。
ここでは、戸建てよりマンションが優位とされている点を紹介します。
購入してからすぐに住める
マンションは建物がすでに完成しているため、購入したあとすぐに住めることが魅力です。新築戸建の注文住宅だと住めるまで2年以上かかることもあり、土地探しやプランニングにも手間がかかります。
住宅ローンの審査に時間はかかりますが、マンションなら購入から1〜3ヶ月ほどで入居が可能です。内見から引っ越しまでがスピーディーなので、子どもの入学など生活の変化にも対応しやすくなります。
修繕やメンテナンスに手間がかからない
マンションの場合、修繕やメンテナンスは管理組合が行います。一方で戸建てでは、修繕やメンテナンスが必要になったとき、自分たちで業者を手配しなければなりません。大規模な修繕となると、まとまったお金が必要になります。
マンションなら、共有部分の清掃や点検・メンテナンスはすべて任せられます。定期的な大規模修繕なども実施されるため、建物の状態も維持されやすいです。修繕費は毎月支払って積み立てるので、急に大きな出費が発生する心配もありません。
立地や利便性がいい
マンションは、利便性の高い都市部や駅チカの物件が多い傾向があります。都市部で戸建て用にマンションと同じような駅チカの土地を探すのは難しく、仮にあったとしても非常に高額です。
占有する土地が広い戸建てより、集合住宅であるマンションのほうがよい条件の物件が割安で購入できます。公共交通機関が利用しやすい、スーパーや病院、学校などが近く利便性がよいのがメリットです。通勤や通学、買い物などの観点で比較した場合、戸建てよりマンションのほうが有利といえます。
セキュリティ性が高い
マンションには管理人がいて、常に不審者に目を光らせてます。怪しい人物が入ってきにくいため、安心して住みやすい環境です。中層階や高層階ならさらに外から侵入しにくく、セキュリティ性が高いといえるでしょう。
他にもオートロックや防犯カメラ、警報装置など、防犯設備が充実したマンションもあります。警備会社と契約しているマンションなら、さらに安心です。女性やお子さんがいるご家庭でも、安心して暮らせます。
設備が充実している
宅配ボックスや24時間利用できるゴミ捨て場など、充実した設備もマンションの魅力です。さらに、以下のような、ワンランク上の設備やサービスを提供しているマンションも注目を集めています。
- 高速Wi-Fi
- EV充電器
- 防災備蓄用倉庫
- ペット用施設
- キッズスペース
- ライブラリー
- ラウンジ
- フィットネス
- ペット用の設備
このような設備・サービスを活用すれば、生活をさらに充実させられます。ただし、設備が充実したマンションは価格が高額になる傾向にあるので、注意が必要です。
マンションよりも戸建ての方が優位とされる部分

マンションの優位な部分を紹介しましたが、戸建てのほうが優れている部分もたくさんあります。どっちがよいのか判断するために、戸建ての魅力も確認しておきましょう。
デザインや間取りを自由に選べる
新築戸建の注文住宅なら、間取りや設備、素材などすべて自由に選べます。テレワークのための書斎をつくったり、キッチンやお風呂など水回りにこだわったりと、理想のイメージを実現できます。家族構成やライフスタイルにあわせて、部屋の数や収納スペースも最適化できるでしょう。
一方、マンションはデザインや間取りの選択肢が少なく、基本的には決まった内容に対して満足できるかどうかでしか選べません。
「せっかく家を買うならいろいろ自由に選びたい」と考えるなら、新築戸建の注文住宅の方が向いているでしょう。
住みながら自分たち好みに育てられる
戸建てだと、リフォームやリノベーションに制限はありません。増築や建て替えも自由で、住みながら自分たちのニーズや好みにあわせて育てられます。広い部屋を分けて子ども部屋にする、老後に備えてバリアフリーにするなど、住みやすさを追求できるのが戸建ての魅力です。
対してマンションは、管理規約で内装や間取りの変更が制限されており、違反すると大きなトラブルに発展することもあります。
「住みながら家を育てる」に魅力を感じるなら、戸建ての方が向いています。
プライバシーを保てる
戸建ては敷地が独立しているため隣家と距離があり、プライバシーを保ちやすい利点があります。近隣住民から干渉されたり生活時間を把握されたりしにくく、適度な距離を保てます。お互いの生活音も聞こえにくいため、騒音トラブルにも発展しにくいのがメリットです。
一方、マンションは上下左右が隣接していて、共有部分での接触も避けられません。
プライバシー重視なら、マンションよりも戸建ての方に分があります。
管理規約による制限がない
戸建ての場合、マンションの管理規約のような制限がありません。制約を受けずに自由に住宅や土地を活用できるでしょう。種類に関係なくペットを飼ったり庭でバーベキューをしたりと、生活の自由度が高いのが魅力です。
対してマンションでは、ペットや騒音、リフォームなどに細かい制限があり、違反すれば警告や強制退去になります。専用庭があるマンションもありますが1階だけで、それもあまり広くありません。バーベキューや花火なども、多くのケースで管理規約により禁止されています。
制限のある暮らしを避けたいのであれば、マンションよりも戸建ての方が向いています。
【チェックリストで確認】マンションと戸建て、向いているのはどっち?
マンションと戸建てどっちが向いているのか、選ぶときのチェックポイントをまとめました。多くチェックがつく方が、今の希望に適している可能性が高くなります。
| マンション | 戸建て(土地+注文住宅) |
|---|---|
| 購入したあとすぐに住みたい 修繕やメンテナンスは任せたい 室内以外の管理や清掃は任せたい 利便性の高い場所に住みたい 通勤や通学のために駅チカでなければならない セキュリティや安全性を重視したい 設備が充実している住居がいい マイカーは所持しないので駐車場は必要ない | 将来的な資産価値を重視したい デザインや間取りで理想を追求したい 住みながら住宅を育てたい 閑静な住宅街に住みたい 多少駅から離れていても、広い場所に住みたい プライバシーを保ちたい 騒音トラブルのリスクを減らしたい マイカーを所有している/購入する予定がある リフォームや増築は自由に行いたい ガーデニングや庭いじりを楽しみたい |
どちらも同じくらいチェックがつく場合は、譲れない条件に優先順位をつけて検討して見ましょう。判断基準を明確にしたうえで、どっちがよいか選択することが大切です。
まとめ
近年は建築コストが上昇傾向にあり、これからも物件の価格相場は高くなることが予測されます。現在賃貸に住んでいる方にとっては、マンションと戸建てのどちらを選ぶのか決断は早いほうがよいでしょう。
長期的な視点で見た場合、資産価値はマンションよりも戸建て(土地込み)の方が有利です。とはいえ住宅はあくまで住む場所なので、自分たちのライフスタイルにあっているかどうかもあわせて判断すべきです。
山川設計は、資産価値を考慮したRC(鉄筋コンクリート)の設計を得意としています。RC工法だからこその堅牢さに加えて、省エネ性能やメンテナンス性など資産価値に直結する部分を考慮した設計が可能です。
土地探しの段階からサポートしていますので、「土地探しはこれから」「どんな土地を選べばいいのかわからない」という方もお気軽にご相談ください。
また、ファイナンシャルプランナーとも提携しているため、資金準備や将来的な売却計画についても並行してご相談いただけます。
相談は無料のため、まずはお気軽にお問い合わせください。