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「RC構造の家は防音性が高いって本当?」
「RC構造の防音性は具体的にどれくらいか知りたい」
RC構造の家を検討するなかで、音によるストレスを減らすために、このようにお考えの方もいるでしょう。
快適なRC構造の家を実現するには、RC構造の防音性について具体的なイメージをもっておくことが大切です。
本記事では、RC構造の防音性は具体的にどのくらいかを解説します。
RC構造の防音性が高い理由

RC構造の防音性が高いのは、コンクリートの密度が高く、隙間ができにくいためです。
音は空気や個体、液体が振動することで伝わりますが、鉄筋やコンクリートのように重くて密度が高い材料は振動せずに音を跳ね返します。
RC構造は柱や壁など構造全体にコンクリートが使われているので、総合的に建物の密度が高く、テレビの音や人の話し声などが広がるのを軽減できます。
RC構造の防音性は具体的にどのくらいか

RC構造の防音性は、一般的な生活音はほとんど伝わらない程度で、衝撃音がやや響くレベルです。つまり、RC構造では音によるストレスが少ない生活ができるといえます。
なお、防音性は音を跳ね返す「遮音」と、音を吸収する「吸音」の2つの要素から成り立っています。このうち、RC構造は遮音性に優れた構造です。
遮音等級(D値・L値)でいえば、一般的なRC住宅はD-50程度、L-50程度とされています。
遮音等級 | 例 |
---|---|
D-50 ※壁や建具の遮音性能を示す指標 | ピアノの大きな音が小さく聞こえる一般的な会話はほとんど聞こえない |
L-50 ※床の衝撃音に対する遮音性能を表す指標 | 人が走り回るような衝撃音は小さく聞こえる物の 落下音は聞こえる |
※D値は数値が大きいほど、L値は数値が小さいほど遮音性能が高い
ただし、上記はあくまで一般的にいわれている話であり、実際は壁の厚みや床・天井の構造によって性能が異なるので注意しましょう。
RC構造とその他の構造の防音性を比較

RC構造とその他の構造の防音性を比較すると、以下のとおりです。
種類 | 防音性 |
---|---|
RC構造 | ◎ |
木造 | △ |
軽量鉄骨造 | △ |
重量鉄骨造 | ◯ |
それぞれの構造の防音性について、解説します。
木造
木造とは、柱・梁・壁などの骨組みを木材でつくる建築物を指します。
RC構造と木造を比較すると、防音性は木造のほうが劣ります。木造の防音性が低いのは、構造的に壁のなかに隙間が生じやすいからです。
一般的な木造の遮音等級はD-35程度、L-75程度です。一般的なRC構造の防音等級とされるD-50程度、L-50程度と比較すると、大きく下回ります。
※D値は数値が大きいほど、L値は数値が小さいほど遮音性能が高い
遮音等級 | 例 |
---|---|
D-35 | ピアノなどの大きな音がよく聞こえる |
L-75 | 物の落下などの衝撃音が大変うるさい |
木造では生活音がかなり聞こえるため、プライバシー確保が難しい可能性があります。
軽量鉄骨造
軽量鉄骨造とは、骨組みに厚さ6mm未満の鋼材を使用する構造のことです。
RC構造と軽量鉄骨造を比較すると、軽量鉄骨造のほうが防音性が低いとされています。軽量鉄骨造の構造体は鉄骨であるものの、壁の構造は木造に似ており、音を伝えやすいためです。
具体的には、軽量鉄骨造の遮音等級はL-65程度です。多少の音は軽減されますが、たとえば飛び跳ねる音はかなり聞こえるので、環境によっては音によるストレスを感じやすいといえます。
重量鉄骨造
重量鉄骨造とは、骨組みに厚さ6mm以上の鋼材を使用する構造を指します。
重量鉄骨造の防音性は比較的高いとされるものの、RC構造にはおよびません。重量鉄骨造は柱が太くなることで壁も厚くなるので、一定の防音性は確保できますが、コンクリートの壁ではないため音を伝える懸念があります。
具体的には、重量鉄骨造の遮音等級はL-60程度で、飛び跳ねる音など振動をともなう音がよく聞こえるレベルです。
RC構造の家で防音性を左右する要素

RC構造は防音性が高いとされるものの、以下のような要素で性能が変わる可能性があります。
- 壁の厚さ
- 気密性
- 間取り
- 窓の性能
楽器を演奏する場合や隣家との距離が近い場合など、より防音性が求められるケースもあるため、チェックしておきましょう。
壁の厚さ
壁の厚さと防音性は密接に関係しています。壁が厚いほど空気の振動によって伝わる音が透過しにくくなるので、防音性が高い傾向にあります。
RC構造における鉄筋コンクリートの壁の厚さは、150mm以上が一般的です。150mm前後でもある程度の防音性は担保されるものの、より防音性を高めるには、180〜250mmの厚さが望ましいとされています。
180mm以上の壁の厚さがあると、テレビや会話の音はほとんど聞こえません。楽器を弾く音も気にならないレベルで、快適に生活できます。
防音性をより高めたいのであれば、壁の厚さにもこだわりましょう。
気密性
RC構造ではコンクリート自体の気密性は高いものの、換気口・通気口から音漏れするケースがあります。
2003年7月に施工された改正建築基準法で、シックハウス症候群対策としてすべての建物に24時間換気設備の設置が義務付けられました(※)。よって、各部屋に換気口や通気口などの換気設備を設ける必要があります。換気口や通気口は外と直接つながっているため、防音対策が欠かせません。
換気口・通気口からの音漏れ対策としては、換気口にダクト用の吸音材を詰めたり、防音フードを設置したりする方法があります。
防音性をより高めたいのであれば構造のみならず、換気口・通気口からの音の出入りにも着目しましょう。
※参考:国土交通省「快適で健康的な住宅で暮らすために」
間取り
RC構造であっても、静かな環境を確保したい空間の近くに音の発生源があると、音漏れによるストレスを感じる可能性があります。
たとえば、寝室やワークスペースなどを道路や隣家に面する位置に配置する場合、騒音に悩まされるケースがあります。また、隣家に面する位置に、楽器を演奏したり子どもが遊んだりするスペースを配置すると、騒音トラブルが発生するリスクがあるため注意しましょう。
1階と2階の間取り分けも同様に大切です。たとえば子ども部屋の下にワークスペースを配置するケースでは、足音が気になりやすくなるかもしれません。
どのような音が発生するか、具体的にイメージしながら間取りを検討しましょう。
窓の性能
窓の性能によっても、RC構造の家の防音性が左右されるので注意が必要です。窓の性能を重視せずに家づくりを進めてしまい、音が伝わりやすい状態になると、騒音に悩まされる可能性があります。
RC構造の家では断熱性向上の観点で複層ガラスが採用されるケースが多いですが、複層ガラスでは十分な防音対策が行えない可能性があります。そこで有効なのが、窓の内側に追加で窓サッシを設ける内窓です。内窓により気密性を高めることで、窓面からの音の出入りを防ぐことができます。
構造・性能以外で家の防音性を高めるポイント

快適性をより向上させるには、構造・性能以外で家の防音性を高める以下のポイントもチェックしておくことが大切です。
- 防音グッズを併用する
- 周辺環境を考慮して土地を選ぶ
それぞれのポイントを確認して、家づくりに取り入れましょう。
防音グッズを併用する
RC構造の家に以下のような防音グッズを併用することで、さらなる防音性向上が期待できます。
- 防振ゴム
- 防音カーテン
- 防音マット
防振ゴムは、洗濯機などの家電の下に敷いて振動音を軽減させるアイテムです。目につきづらい部分に配置して対策ができるため、防音にこだわるならぜひ取り入れましょう。
一方、カーテンやマットは部屋の雰囲気を左右するので、防音機能だけではなくデザインのテイストや配色も踏まえて、インテリアに馴染むアイテムを選びましょう。
周辺環境を考慮して土地を選ぶ
音が発生する原因を減らすには、周辺環境を考慮して土地を選ぶことも重要です。一般的に、以下に近い場所は騒音リスクが高まりやすいとされています。
- 交通量の多い道路
- ゴミ捨て場
- 公園
上記の場所以外であっても、昼と夜とで騒がしさが異なるケースがあります。そのため、購入候補の土地に時間帯を変えて複数回足を運び、周辺環境を確認しましょう。
まとめ
RC構造の防音性は、話し声などの一般的な生活音はほぼ伝わらない程度で、衝撃音はやや響くレベルです。壁の厚さや間取りにもこだわることで、より快適なRC構造の家を実現しましょう。
山川設計は800棟を超える豊富な施工実績があり、RC構造の設計において卓越した技術力をもつ設計事務所です。防音性をはじめとして施主様の希望や理想を丁寧にヒアリングし、間取りやデザインを提案いたします。
無料相談も受け付けているので、機能性の高いRC住宅をご希望の方は気軽にお問い合わせください。