会社勤めをされていますが、もともと不動産投資に関心があり、しっかりとした副収入を確保したいと考えていたことから、購入後に建替えてホテルを併用した自邸を建築しました。

まずは民泊サービスを展開。手応えを得た

Q都心の絶好の立地ですね

空港からのアクセスがよい都営地下鉄の駅から至近で、山手線の駅からも徒歩圏です。特に山手線の駅前はとても便利で、私自身、ここに住みたいと思いました。二世帯住宅が建っている土地が売りに出ていたのですぐに購入しました。

Qもともと不動産事業をされていたのですか?

最初に収益物件を購入したのは17年前ですが、当時も今も会社員が本業です。不動産という副収入があると、会社への依存度が下がり気持ちに余裕ができます。将来的にはこの中古の二世帯住宅を収益性の高い建物に建て替えて、副収入を安定させたいと考えて購入を決断しました。

Q最初は民泊事業をされたそうですね

そうなんです。二世帯のうちの1世帯分を賃貸に出そうかと考えていたタイミングでAirbnbの存在を知り、この物件は民泊のほうが向いているのではと考えて挑戦してみようと思いました。数年間運営してみた結果、かなりのニーズがあることが分かって、この場所ならホテルが十分成り立つと思ったんです。旅館業の許可の要件が緩和されたこともあり、建て替えるなら賃貸住宅よりもホテルのほうが伸びしろがありそうだと。

RC造でデザインもいい設計事務所を見つけた

Q山川設計とはどんな出会いだったのですか?

中小規模の収益物件を土地から建てるのは、そもそもプレイヤーが少ないので引き受けてくれる建築会社を探すのに不安がありましたが、ネットで地道に調べていたら、一戸建てから収益物件まで扱っている山川設計を見つけました。妻も実例に掲載されていた物件のデザインを気に入って、すぐに話を聞きに行くことにしました。

Q山川設計に決めた理由はなんだったのですか?

もともとは容積率と道路斜線制限とのバランスで6階建てを想定していましたが、1フロアあたりの床面積が小さくなってしまい自分ではベストなプランが思い浮かびませんでした。山川設計に相談しに行ったときに、地下1階地上5階のプランをご提案いただきました。地上5階までであれば壁式RC構造という柱や梁の出ない方法で建てられますし、1フロアあたりの床面積も6階建てより広くとれるので、これだ!と思いました。山川設計は地下室を得意にしているそうで、極端なコストアップにもならないとのことでそのプランに決めました。

地下が事務所、5階が自宅。客室は7室を確保

Q最終的には1階から4階をホテルの客室にされたのですね。

法令の関係で地下と地上5階以上をホテルの客室にすることは現実的でなかったので、地下1階を事務所、地上5階を自宅として1階から4階までをホテルの客室にしました。ホテルの客室はツインベッドの2人用の部屋が4室、6人が泊まれるファミリールームが3室あります。以前、民泊をしていたときに5人、6人で泊まるというニーズがかなりあることが分かったので設けました。

Q特に工夫されたことはどんなところですか?

ベッドを高くしてベッドの下に大きなスーツケースがしまえるようにしたり、限られたスペースに必要なものをすべて配置できるようにしたり、というところでしょうか。この点は賃貸用の居室を設計している山川設計のノウハウが生きていると思います。他にも、人が常駐して対面で接客するフロントなどは設けていないので、自動チェックイン・チェックアウトのシステムを導入したり、荷物を一時預かってほしいというニーズに応えられるようにセルフで使えるロッカーを設けています。これも山川設計にデザインしてもらいました。外観デザインも山川設計ならではの落ち着いた石造りの雰囲気で、エントランスもすっきりしているしロートアイアンの外灯もおしゃれです。こういうところに泊まったよとSNSで発信する人も多く、宣伝効果もあります。

客室は順調に稼働中

Qホテル経営はいかがですか?

稼働率は予想以上で経営は順調です。駅前とまではいきませんが、駅に近いのでこれからもニーズはあると思います。賃貸住宅に変えるという選択肢もあるとは考えているので、ホテル経営を進めながら状況を見て判断しようと思っています。

Q山川設計はどんな人に勧めたいですか

私は比較的安い建築費でベストに近い建物ができて非常に満足していますので、コストを抑えながらRCで建てたい人は、みなさん選択肢に入れてほしいと思います。これは一般論ですが、土地から建物を建てるということは工場でつくられて既製品を購入するのとは全く違い、現地で職人さんたちが無数の工程を手作業で仕上げていきますので、現場の判断で打ち合わせ通りになっていなかったり、そもそも打ち合わせからもれていた箇所がどうしても出てきます。これは大手のハウスメーカーに頼んでも地域密着の工務店に頼んでも同じだと思いますので、妥協できる部分は妥協したり、あとから直せる部分はあとから直したりしながら根気よく完成させていくという心構えが必要かと思います。山川設計はなるべくコストのかからない方法でやってくれると思いますが、スラブ(コンクリートの床や天井)が直床・直天井の場合は、居室内にできる段差や床材については事前にきちんと確認することをおすすめします。山川設計と工務店と施主で「いっしょにつくっていく」という気持ちで取り組んでください!