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RC構造において躯体工事は、建築工事の大部分を占める重要な工程です。これから住宅を建てるのであれば、その流れも知っておきましょう。
工事の様子を目で見て理解できるようになれば、マイホームが建つまでの過程をより楽しめるようになります。
本記事では、RC構造の躯体工事の流れを解説します。RC住宅の建築を予定している方は、ぜひ最後までお読みください。
躯体(くたい)工事とは?
躯体工事とは、建物の躯体(構造体)をつくる工事です。具体的には、基礎工事から柱、梁、床、壁、屋根などを組み立てる本体工事までを指します。

躯体は建物の荷重を支えるために、構造耐力上欠かせない部分です。そのため、躯体工事は、建物の建築において非常に重要な工事に位置づけられます。
とくにRC(鉄筋コンクリート)構造の場合、周囲に型枠を設けて鉄筋を組み、コンクリートを流し込む作業が必要であり、他の構造よりも工事の工程が複雑です。RC構造の建築工事の大部分を占め、ほとんどやり直しがきかず、建物の品質に大きな影響を与えます。
RC住宅の躯体工事の工程は大きく分けて3つ
RC住宅の躯体工事の工程は、以下の3つに大別されます。
- 型枠工事
- 配筋工事
- コンクリート打設工事
ここからはRC住宅の躯体工事をより深く知るために、それぞれの工程について詳しく解説します。
1.型枠工事

型枠工事は、配筋工事後に流し込むコンクリートの受け皿となる、型枠を組み立てる工事です。設計図の配筋予定位置に沿うように、合板または鋼製の型枠を取りつけます。
型枠工事では、型枠が変形しないよう正確に、かつ隙間なく組み立てる必要があります。型枠が適切に設置されていないと、コンクリートにゆがみが生じ、建物の強度や出来栄えに影響するためです。
2.配筋工事

配筋工事は、RC躯体の鉄筋を設計図にもとづいて組む工事です。
鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートの2つの素材で構成されますが、この内鉄筋は、外部からの曲げモーメント(曲げようとする力)により内部に発生する引張力(横方向に引っ張る力)に抵抗する役割をもちます。RC構造において、躯体の骨格ともいえる重要な部分です。
鉄筋には、リブや節がついた異形鉄筋と凹凸のない丸鋼の2種類がありますが、現在はコンクリートから抜けにくい異形鉄筋が主流です。鉄筋には、下記のような役割があります。
| 主筋 | 柱や梁の主軸となる太い鉄筋 |
| 帯筋 | 柱の主筋を補強するための鉄筋 |
| あばら筋 | 梁の主筋を補強するための鉄筋 |
これらを図面に合わせて格子状に組むことで、頑強な骨格を形成します。
▼柱・梁の配筋イメージ

3.コンクリート打設工事

※山川設計における工事風景ではありません
コンクリート打設工事は、ポンプを使い、生コンクリートを型枠に流し込む(打設する)工事です。一般的には、打設からコンクリートの締固め、養生まで一連の工程を指します。
RC躯体の仕上がりを左右する重要な工程です。
RC住宅の躯体工事の流れ
ここからは、3階建て壁式構造の躯体工事の流れを以下のように細分化して解説します。
- 土工事
- 山留工事
- 基礎工事(1階の床・基礎梁)
- 1階の壁および2階の床・床梁の工事
- 2階の壁および3階の床・床梁の工事
- 3階の壁および屋根の床・床梁の工事
RC住宅の頑強な躯体が生み出されるまでの過程を詳しく見ていきましょう。
1.土工事
RC住宅の躯体工事は、土工事から始まります。基礎づくりの第一歩となる作業です。
バックホーやショベルローダーなどの車両重機を使って、地面を基礎構築に必要な深さまで掘削します。3階建て壁式構造の場合は、掘削の深さは1〜1.5m前後です。
地盤が軟弱な場合や4階建て以上の住宅を建てる場合は、より深く掘削することもあります。土地の高低差によっては、埋め立て、盛土、切土なども行います。
2.山留工事
土工事によって掘削された周囲の土が崩壊しないよう、土を押さえる工程です。
H形鋼や横矢板などの山留材(土砂の崩壊を押さえるための仮設の板材)を周囲に張り巡らせます。
3.基礎工事(1階の床・基礎梁)
地上建物の躯体の土台となる基礎をつくります。
型枠を組み立てたうえで、配筋を行い、この段階で配筋検査を実施します。
その後は、コンクリートの流し込み(コンクリートの打設)です。型枠に生コンクリートを流し込んだら、バイブレーターと呼ばれる機材でコンクリートを振動させ、締め固めます。コンクリート内部の気泡を取り除き、コンクリートの密度や耐久性を向上させるのが目的です。
その後、コンクリートが型枠の隅まで満遍なく行き渡るように、表面をコテなどでならします。
コンクリートの打設後は、適切な含水率や温度維持のため養生を行い、湿度・温度を管理しながらコンクリートが硬化するのを待たなければなりません。この適切な湿度・温度管理により、強度の高い鉄筋コンクリートの躯体がつくられるのです。
コンクリートが硬化し、十分な強度を満たしていることを確認したら、型枠を解体します。
ここまでが基礎関連工事の一連の流れです。以降、本体工事に移ります。
4.1階の壁および2階の床・床梁の工事
墨出しで書き出した位置と設計図にもとづき、1階部分の壁の鉄筋を組みます。主筋の長さが足りない場合は、継手と呼ばれる手法で鉄筋を接合し、長さを伸ばす作業も必要になります。
その後は、2階部分の床の型枠を組み立てる工程です。ここで組み立てる型枠は、2階床に流し込むコンクリートの受け皿になります。2階床の型枠が完成したら鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで2階の床を作っていきます。
5.2階の壁および3階の床・床梁の工事
1階を作ったときと同様の工程で、2階の壁も作っていきます。このタイミングで上階(3階)の床・床梁の工事を進めるのも、1階のときと同様です。
6.3階の壁および屋根の床・床梁の工事
最上階の工事も同様の工程ですが、最後は屋根の床・床梁の工事となります。
RC住宅の躯体工事にかかる期間は?
RC住宅の躯体工事にかかる期間は住宅の規模、階数によって異なるものの、2~3階建てで約3~4ヶ月が目安です。
RC住宅の躯体工事の工期は、階層一つにつき約1ヶ月かかるといわれています。コンクリートが固まり、十分な強度になるまで1ヶ月程度必要なためです。
下階のコンクリートが固まるまでは上階の躯体工事に進めないため、高い建物ほど工期が長引くことになります。天候や温度、資材の供給状況などによっても前後するため、入居日から逆算して余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。
入居希望日が決まっている場合は、設計相談の時点で早めに伝えておきましょう。
まとめ
RC住宅の建築過程の中でも、躯体工事は建物の耐震性・耐久性を左右する重要な工事です。その高度な技術こそ、RC住宅が頑強なつくりとなる秘密といえるでしょう。
RC住宅の設計は、ぜひRC構造の設計実績が豊富な山川設計にご依頼ください。
山川設計では、自社の設計士が工事を最初から最後まで監理し、躯体の仕上がりを担保します。「設計だけしたら、後は施工会社にお任せ」とはせず、施主様のこだわりを忠実に反映できるよう最後まで努めます。
また、工事の内容をオープンにしており、着手後も連絡をいただければいつでも見学可能です。
相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。
