賃貸併用住宅は、家賃収入をローンの返済に充てることで、手持ち資金の負担を抑えられるのがメリットです。一方で、「賃貸併用住宅で使えるローンにはどのようなものがある?」「住宅ローンは使える?」などの疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、賃貸併用住宅の建築には、住宅ローンと不動産投資ローンの2つが使える可能性があります。ただし、それぞれで利用条件や借入上限額、金利が異なるため、理想とする賃貸併用住宅と自身の状況に適した選択をすることが大切です。

本記事では、賃貸併用住宅の建築で使えるローンやその利用条件、メリット・デメリットを解説します。ローンを利用して賃貸併用住宅を建てようとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

監修者:田中 佑輝(株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表)
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。
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賃貸併用住宅の建築に利用できるローン

賃貸併用住宅の建築には、以下の2種類のローンが利用できます。

  • 住宅ローン
  • 不動産投資ローン

それぞれ詳しく解説します。

住宅ローン

住宅ローンは、本来マイホームの取得費用を融資するものですが、実は賃貸併用住宅でも一定の条件を満たすことで利用できます。賃貸併用住宅は、建物の一部がオーナーの居住用スペースであるためです。

ただし、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローン「フラット35」は、賃貸併用住宅に使えません。他にも、住宅ローンを提供する金融機関によっては、賃貸併用住宅への利用を不可としている場合があるため、よく確認しましょう。

不動産投資ローン

賃貸併用住宅の建築には、不動産投資ローンが利用できます。賃貸併用住宅は、マイホームでありつつ、建物の一部が投資を目的とした住宅となっているためです。

不動産投資ローンとは、賃貸用のアパートやマンションの購入資金を融資するローンです。アパートローンとも呼ばれます。

ローンで賃貸併用住宅を建てる場合は、一般的には低金利で利用のハードルが低い住宅ローンを選択するケースが多いです。しかし、賃貸併用住宅の設計、建築費用によっては住宅ローンが適さない場合があります。

不動産投資ローンは、建てようとしている賃貸併用住宅において住宅ローンが使えない場合や、住宅ローンを利用するデメリットが大きい場合の選択肢となります。

賃貸併用住宅のローン利用条件

賃貸併用住宅におけるローンの利用条件を、以下の2つに分けて解説します。

  • 住宅ローンの利用条件
  • 不動産投資ローンの利用条件

それぞれの利用条件を理解して、利用するローンの目星をつけましょう。

住宅ローンの利用条件

賃貸併用住宅の住宅ローンの利用条件は金融機関によって異なりますが、ほとんどの場合、「居住用部分が建物全体の50%以上を占めていること」が条件となっています。

たとえば、延べ床面積300㎡の賃貸併用住宅を建てるのであれば、居住用部分が150㎡以上、賃貸住戸部分はそれ以下になるよう設計する必要があります。一部の金融機関では、このような面積要件を設けずに住宅ローンの利用を認めているケースもありますが、住宅ローン控除を利用するには自己居住部分が全体の50%以上であることが税制上の要件となります。

他にも、年齢や団体信用生命保険への加入などの細かい条件が設けられています。住宅ローンの審査では、これらの条件に加え、年収や勤続年数、現在・過去の借入状況などから返済能力を評価して、ローン利用の可否が判断されます。

不動産投資ローンの利用条件

不動産投資ローンでは、賃貸併用住宅へのローン利用について、居住用部分や賃貸住戸部分の専有面積に関する条件はとくに決められていません。団体信用生命保険への加入も、任意であるケースが多いです。

ただし審査では、住宅ローンの評価項目に加え、建物の収益性や借主の資産保有状況、過去の投資実績なども見られます。

また、不動産投資ローンを提供する金融機関によっては、地域を限定していることもあります。

▼監修FPからのコメント

自宅として使う部分が50%以上なら、住宅ローンを優先しましょう。賃貸割合を増やすと収入は増えますが、不動産投資ローンは金利が高くなります。
金利と家賃収入を比べて、収支シミュレーションで判断することが大切です。

賃貸併用住宅に住宅ローンを利用するメリット

賃貸併用住宅に住宅ローンを利用する場合は、以下のようなメリットが得られます。

住宅ローン控除を利用できる

賃貸併用住宅に住宅ローンを利用するメリットは、住宅ローン控除を受けられることです。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを使って居住用住宅を取得した場合に、最長13年間ローン残高の0.7%を所得税から控除する制度です(※1)。本来マイホームの新築・購入に適用されるものですが、一定の条件を満たせば、賃貸併用住宅でも利用できます。ただし、控除対象となるのは居住用部分のみです。

賃貸併用住宅で住宅ローン控除を受けるには、居住用部分が建物全体の50%以上となっている必要があります(※2)。

控除対象となるローン残高は、建物全体の延べ床面積に対する居住用部分と賃貸住戸部分の割合をもとに、居住用部分のローン残高を按分計算することで算出可能です。たとえば、総額8,000万円の賃貸併用住宅で、居住用部分が建物全体の50%である場合、8000万円×50%で、4,000万円が居住用部分のローン残高となります。

住宅ローン控除には、他にも省エネ基準への適合や床面積など複数の適用要件が設けられているため、事前に確認しておきましょう。

※1 参考:国土交通省「住宅ローン減税
※2 参考:国土交通省「住宅ローン減税制度について

低金利である

住宅ローンは、国が住宅の取得を積極的に推進していることも相まって、不動産投資ローンと比べて金利が低い傾向にあります。

具体的な金利の目安は、以下の通りです。

  • 変動金利:0.5%〜0.7%程度
  • 固定金利(10年):1%程度

金利が低いとトータルの返済金額が減るため、返済の負担を軽減できます。

返済期間を長く設定できる

返済期間を長く設定できるのも、賃貸併用住宅に住宅ローンを利用するメリットです。

住宅ローンの一般的な最長借入期間は35年です。最近では、住宅価格の高騰や低金利の長期化により、借入期間が50年の超長期住宅ローンも登場しており、より高額な住宅を選択できるようになりました。

住宅ローンを長期で組むと、毎月の返済額が少なくなるため、家計の負担を軽減できます。ただし、返済期間が長いと、その分金利によってトータルの返済金額も増えるため、現在の年齢や将来の年収なども加味して総合的に判断することが重要です。

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賃貸併用住宅に住宅ローンを利用するデメリット

賃貸併用住宅に住宅ローンを利用する場合は、以下のようなデメリットに注意が必要です。

借入上限額が低めである

住宅ローンは、主にマイホームの取得を対象としているため、不動産投資ローンと比べると借入上限額は低めに設定されています。ほとんどの民間金融機関では、住宅ローンの借入上限額を1億円程度としているケースが多いです。

なかには1億円以上の高額融資が可能なローンもありますが、住宅ローンは主に年収をもとに融資金額を算定するため、必ずしも上限額ぎりぎりまで借りられるとは限りません。そのため、建てたい賃貸併用住宅の規模によっては資金が不足する可能性があります。

住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる際は、綿密な資金計画が必要です。資金が不足しそうな場合は、自己資金を購入費用の一部に充てることも視野に入れ、予算を組みましょう

収益性を高めることが難しい

住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる場合は、賃貸事業としての収益性を高めることが難しくなります。

前述したように、賃貸併用住宅に住宅ローンを利用するには、居住用部分を「建物全体の50%以上」確保しなければなりません。仮に、延べ床面積300㎡の賃貸併用住宅を建てる場合、賃貸住戸部分は150㎡以下におさめる必要があります。

国土交通省が定めている居住面積水準によると、単身者が豊かな生活を実現するのに必要な居住面積は40㎡です。4人家族の場合は、85㎡(未就学児がいる場合)の居住面積が必要とされています(※)。

この基準にしたがって150㎡以内で賃貸住戸部分をつくろうとすると、ワンルームの場合で3~4戸、ファミリー向け住戸の場合で1~2戸が、確保できる住戸数の目安となるでしょう。

確保できる賃貸住戸数が少ないと、その分家賃収入も少なくなります。結果、ローン返済額を自己資金でまかなわなければならない可能性が出てきます。

※ 参考:国土交通省「住生活基本計画における「水準」について

賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用するメリット

賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用する場合は、以下のようなメリットが得られます。

高額融資が可能である

賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用するメリットは、高額融資が可能であることです。

不動産投資ローンは、投資不動産の取得に対して融資する事業向けのローンであるため、個人の住宅購入を対象とした住宅ローンよりも借入上限額が高い傾向にあります。

住宅ローンの借入可能額は年収の6~8倍程度が一般的ですが、不動産投資ローンでは年収の10~20倍程度の融資が受けられることもあります。

ただし、実際の借入可能金額は購入金額の90%以内に設定されるケースが多いです。残りの10%以上は自己資金などでまかなわなければならない可能性があるため、資金準備をしっかりと行っておきましょう。

家賃収入を返済能力として評価してもらえる

家賃収入を返済能力として評価してもらえることも、賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用するメリットです。

不動産投資ローンは、不動産投資や事業向けのローンであるため、住宅ローンとは違って家賃収入も考慮した審査が行われます。家賃収入による高い収益性が見込まれれば、その分融資額も高くなります

このメリットを最大限享受するためには、収益性を考慮した土地選び、建物設計、家賃設定が必要です。

設計が制限されない

不動産投資ローンでは、間取りの設計が制限されません。

不動産投資ローンには、居住用部分や賃貸住戸部分の面積の制約がないため、自由な設計が可能です。そのため、賃貸住戸数を多くして収益性を高めれば、得られる家賃収入を増やせます

返済期間や金利などの条件によっては、家賃収入をローンの返済に充てても手残りの収入が得られる可能性もあります。

賃貸併用住宅の間取り設計については、以下の記事をご参照ください。

賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用するデメリット

賃貸併用住宅に不動産投資ローンを利用する場合は、以下のようなデメリットに注意しましょう。

金利が高めである

不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高い傾向にあります。

賃貸併用住宅などの投資不動産は、空室や家賃の滞納、減額などによって家賃収入が減り、貸倒れするリスクが少なからずあるためです。金融機関としても貸倒れリスクを背負うことになるため、リスクヘッジの観点で金利を高めに設定する傾向にあります。

金融機関や金利のタイプによっても異なりますが、不動産投資ローンの金利は1.5~4.5%前後であるのが一般的です。

ただし、稀なケースではありますが、住宅会社が提携している金融機関の場合は金利が低くなる場合もあります。

不動産投資ローンの金利は、借主の年収や資産保有状況、投資実績によっても上下します。とくに、過去に不動産投資の経験がない場合は、金利が高くなりやすいです。

金利や借入後の返済に不安がある場合は、賃貸併用住宅の建築・設計実績やローンの知識が豊富な住宅会社に相談するとよいでしょう。

審査が複雑なため融資額の概算が難しい

不動産投資ローンは審査が複雑であるため、融資額を予測するのが難しいといえます。

定量的な計算のみで審査を行う住宅ローンとは違い、不動産投資ローンの審査では、借主の資産保有状況、過去の投資実績なども考慮されます。そのため、「これくらい融資してもらえるだろう」という概算が困難です。

また、金融機関にとって、不動産投資ローンは住宅ローンよりも債権の未回収リスクが大きい融資です。そのため、住宅ローンと比べると審査が厳しく、「個人収入は十分でも、収益性に不安がありかつ投資実績が少ない」という理由で審査に通らない可能性があります。

不動産投資ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる場合は、こうした傾向を踏まえて予算を多めに見積もっておく必要があります。審査に通らず、借入先を探すのに時間がかかることも想定して、余裕のあるスケジュールを立てて資金を準備しましょう。

返済期間が短い傾向にある

不動産投資ローンは、住宅ローンと比べて返済期間が短い傾向にあります。

住宅ローンでは、申請者が自身の返済計画に応じてある程度自由に返済期間を決められますが、不動産投資ローンでは多くの場合、建物の法定耐用年数によって返済期間が決まります

法定耐用年数とは、設備や建物などの固定資産の使用できる期間として、法令で定められている耐用年数のことです。たとえば、木造の賃貸併用住宅の場合、法定耐用年数は22年であるため、取得後22年間でローンを完済することになります。

返済期間が短いと月々の返済額が高くなり、急な出費があった場合に対応できなくなる可能性があります。

建物の法定耐用年数は、構造によって大きく異なるため、不動産投資ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる場合は構造にも注目しましょう

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表

まとめ

住宅ローンと不動産投資ローンそれぞれを賃貸併用住宅に利用する場合のメリット・デメリットをまとめると、以下の通りになります。

ローンの種類住宅ローン不動産投資ローン
メリット・住宅ローン控除を利用できる・低金利である・返済期間を長く設定できる・高額融資が可能である・家賃収入を返済能力として評価してもらえる・設計が制限されない
デメリット・借入上限額が低めである・収益性を高めることが難しい・金利が高めである・審査が複雑なため融資額の概算が難しい・返済期間が短い傾向にある

住宅の価格や規模、借入希望額、返済計画に応じて自分に合ったローンを選びましょう。

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