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「理想の住宅のイメージはあるのに、肝心な土地が全然見つからない…」
「ネットである程度は見たけど、どれもピンとこない…」
このように、土地探しに行き詰まりを感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、土地探しには一般的には知られていない、裏ワザ的な探し方も存在します。少し工夫するだけで、思わぬ好条件の土地に出会えることも。
本記事では、多くの人がまだ知らない、土地探しの裏ワザを紹介します。土地探し・土地選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
土地の基本的な探し方

裏ワザの前に、まず基本的な土地の探し方を紹介します。
- インターネットで情報を検索する
- 不動産会社に相談する
- 住みたいエリアに足を運んで探す
- 住宅会社に相談する
インターネットで情報を検索する
「◯◯県◯◯市 土地」のように、住みたい地名やエリアを絞り込んで検索するのは、土地探しの第一歩ともいえます。
土地の情報サイトや不動産に関する総合情報サイトを利用するのもよいでしょう。
ただし、インターネットではリアルタイムでの情報の更新ができないため、すでに売約済みの土地や購入申し込みが入っている土地の情報も掲載されている場合がある点に注意が必要です。
また、画面上の視覚情報のみが頼りとなるため、土地の詳しい周辺環境まではわかりません。気になる土地があったら、管理している不動産会社や売主に問い合わせたり実際に見たりして、周辺状況を確認することが大切です。
不動産会社に相談する
不動産会社は、建物や土地の不動産売買を専門としているため、相談することで多くの土地情報を得られる可能性があります。インターネット上で未公開の土地情報も入手できるかもしれません。
地域密着型の不動産会社であれば、土地の周辺環境や雰囲気、住んでいる世帯の傾向など、詳しい情報を教えてもらえるでしょう。
ただし、不動産会社はあくまで不動産の売買を仲介する会社であるため、「どのような家を建てられるか」についての相談には対応していない点に注意しましょう。
住みたいエリアに足を運んで探す
手間はかかるものの、住みたいエリアに実際に足を運び、自分で探すことも方法の一つです。土地の雰囲気や景観、住んでいる世帯の傾向、交通量などの周辺状況を、自分の目でしっかりと確かめられるのがメリットです。
また、インターネット上に公開されていない売地や空き地が見つかる可能性もあります。
「売地」の看板を目印にして探し、気になった土地があれば看板に記載されている不動産会社や売主に問い合わせるとよいでしょう。
住宅会社に相談する
ハウスメーカーや工務店などの住宅会社によっては、自社で土地を保有・仲介しており、相談することで土地を紹介してもらえる場合があります。住宅会社に相談すれば、土地探しと住宅の建築を同時進行できるため、効率的な家づくりができます。
また、住宅会社は家づくりの専門家なので、採光や風通しに加え、希望の間取りを考慮した土地探しが可能です。
ただし、建築条件付きの土地の場合は、建築の依頼先や工事期間が制限されるため、自由なプランや間取りの設計が難しい点に注意が必要です。
土地探しの裏ワザ5選

以下の方法は、一般的には広く知られていない土地の探し方です。
- 保留地を探す
- 競売・公売情報を調べる
- 古家付き土地を探す
- 空き家・空き地バンクを利用する
- 訳ありの土地も視野に入れて探す
巡り合わせがよければ、好条件の土地が見つかるかもしれません。それぞれ詳しく解説します。
保留地を探す
保留地とは、土地区画整理事業で区画整備された宅地のうち、事業費補填のための売却用に確保された土地です。
保留地のメリットは、事業者から直接購入できるため、仲介手数料が不要な点です。また、相場よりも安価で取り引きされる傾向にあります。各都道府県が整備・開発を推進している都市計画地域や新住宅市街地開発地域の保留地は、周辺環境が整っており、利便性が高いケースが多いです。
ただし、人気が高いために抽選となる場合が多く、必ずしも購入できるとは限りません。
また、保留地は区画整理で新しくつくられた土地であるため、購入時点では登記簿がなく、抵当権を設定できません。そのため、住宅ローンを原則利用できないことに留意する必要があります。
競売・公売情報を調べる
土地の競売・公売情報を調べることでも、希望の土地が見つかる可能性があります。
競売物件は裁判所の不動産競売物件情報サイト、公売物件は国税庁や各県の公式サイトで確認が可能です。
競売・公売のどちらも、オークション形式での売買となっており、最高額で入札した人が購入の権利を得られます。相場よりも安く土地を購入できるのがメリットです。
一方で、入札時には保証金を用意しなければならず、物件の売却基準価額(売り出し時の最低売却価額)によっては数百万円の費用がかかります。加えて、落札後は原則として代金を一括払いする必要があります。
また、あくまで債権回収のための売却であるため、物件の質や受け渡しについて、執行機関は関与しません。そのため、物件の購入後に問題やトラブルが起きた場合は、すべて自己責任で対処する必要があります。
古家付き土地を探す
希望の土地がなかなか見つからない場合は、古家付き土地を購入し、土地だけ活用するのも方法の一つです。
古家付き土地とは、市場においてほとんど価値が付かない古い家が建っている土地のことです。古家付き土地は、更地よりも安価で売り出されやすいため、土地単体の購入よりも土地の購入費用を抑えられる可能性があります。
また、すでに水道やガスなどのライフラインが整っているため、引き込み工事が必要ないことも古家付き土地のメリットです。解体費用はかかるものの、1981年5月31日以前に建てられた古家であれば、耐震改修の解体費用に関する補助金を利用できる場合もある(※)ため、探してみる価値はあります。
※ 参考:文京区「耐震改修工事助成」
空き家・空き地バンクを利用する
空き家・空き地バンクは、各自治体にある空き家・空き地の情報を閲覧できるサービスです。
不動産情報サイトと比べると認知度が低いですが、積極的に土地や建物を売りたい所有者が登録しているケースが多く、相場よりも安く空き家や空き地を購入できる傾向にあります。場合によっては、不動産会社や住宅会社が把握していない、好条件の空き家・空き地が見つかるかもしれません。
各自治体の空き家・空き地バンクへは、「◯◯区 空き家(空き地)バンク」などと検索することでアクセスできます。また、国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」からも検索が可能です。
ただし、土地の売買仲介などには対応していないため、売主との交渉は自身で行う必要があります。
訳ありの土地も視野に入れて探す
住むエリアや地域にこだわる場合は、訳ありの土地も視野に入れて探してみるとよいでしょう。
訳ありの土地といえば、住みにくくデメリットの多い土地と思われがちですが、住む人や設計の工夫によっては快適な住まいを実現できる場合があります。
たとえば、竿に旗が付いたようなL字型の旗竿地は、車が停められないなどの理由で敬遠されやすいですが、車が必要ない方にとっては大きな問題とならないでしょう。台形や奥に長い特殊な地形、高低差がある土地でも、設計次第でむしろ唯一無二の個性的な住宅が建てられる可能性があります。
また、訳ありの土地は一般的な土地よりも安価で売り出される傾向があるため、金銭的にもメリットが大きい土地です。
「訳」をきちんと理解し、利点や対策方法を見出すことが、訳ありの土地を見極めるうえでのポイントになるでしょう。
理想の注文住宅を建てるための土地選びのポイント

理想の注文住宅を建てるため、土地を選ぶ際は以下のポイントに留意しましょう。
- 用途地域
- 立地
- 建ぺい率・容積率
- 高さ制限
- 地盤状況
- 災害リスク
それぞれ詳しく解説します。
用途地域
理想の注文住宅を建てるには、用途地域に着目して土地を選ぶことが大切です。
用途地域とは、都市計画法により土地の用途が定められている地域のことです。以下のように、建てられる建物の種類や規模が決められています。
用途地域 | 用途 | 建てられる建物 |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | 低層住宅を建てるための専用の地域 | 低層住宅、小規模店舗、事務所付き住宅、小中学校 |
第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅を建てるための地域 | 低層住宅、小中学校、150㎡以内の規模の店舗 |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅を建てるための専用の地域 | 戸建て住宅、中高層マンション・アパート、病院、大学、500㎡以内の規模の店舗 |
第二種中高層住居専用地域 | 主に中高層住宅を建てるための地域 | 戸建て住宅、中高層マンション・アパート、病院、大学、1,500㎡以内の規模の店舗・事務所 |
第一種住居地域 | 住宅の環境を守るための地域 | 戸建て住宅、マンション、アパート、3,000㎡以内の規模の店舗、事務所、ホテル |
第二種住居地域 | 主に住宅の環境を守るための地域 | 戸建て住宅、マンション、アパート、店舗、事務所、ホテル、カラオケボックス |
準住居地域 | 道路の沿道にあり、自動車関連施設との調和、住宅の環境の保護を目的とした地域 | 戸建て住宅、マンション、アパート、自動車修理工場、自動車ディーラー、ガソリンスタンド |
田園住居地域 | 農業との調和、低層住宅の環境保護のための地域 | 戸建て住宅、農産物直売所 |
近隣商業地域 | 住民が日用品や食品などを購入するための地域 | 戸建て住宅、店舗、小規模の工場 |
商業地域 | 商業施設を建てるための地域 | 銀行、映画館、飲食店、百貨店、戸建て住宅、小規模の工場 |
準工業地域 | 主に軽工業の工場やサービス施設を建てるための地域 | 危険性、環境負荷が大きい工場以外の建物 |
工業地域 | 工場を建てるための地域 | 工場、戸建て住宅、店舗 |
工業専用地域 | 工場を建てるための専用の地域 | 工場 |
参考:国土交通省「用途地域」
たとえば、町の喧騒から離れて静かに暮らしたい場合は、第一種低層住居専用地域など、住宅建築に特化した地域から土地を選ぶとよいでしょう。利便性を考えるなら、第二種中高層住居専用地域や第一種住居地域がおすすめです。
用途地域を検討する際に注意が必要なのが、住宅の建築専用ではない地域を選ぶ場合です。
基本的に、工業専用地域以外ならどこでも住宅を建てられますが、商業地域や工業地域では交通状況、排気ガスなどが暮らしに影響することが予想されます。また、現在商業施設や工場がない地域でも、将来建つ可能性があります。
用途地域は、住み心地や暮らしやすさに影響するため、理想とする暮らし、ライフスタイルに応じて慎重に選びましょう。
立地
土地の立地は、住宅建築後の暮らしやすさに直結する重要なポイントです。
具体的には、以下の項目に沿って立地をチェックするとよいでしょう。
項目 | チェックポイント |
---|---|
交通の利便性 | ・最寄りの駅やバス停までの距離 ・公共交通機関の路線、運行本数 ・通勤や通学の所要時間 ・道路の混雑具合(車を利用する場合) |
生活の利便性 | ・スーパーやコンビニの有無 ・郵便局や病院、銀行などの公的施設の有無 ・学校や保育園、幼稚園の有無、数 |
周辺環境 | ・治安はいいか ・街灯が整備されているか ・交通量はどうか ・騒音や異臭はしないか ・近くに空き地や空き家がないか(防犯対策) ・虫や動物によるトラブルが起きにくいか |
実際に暮らしやすいかどうかは住む人によって感じ方が異なるため、現地に足を運んで確認することをおすすめします。
建ぺい率・容積率
理想の注文住宅を建てるためには、土地の建ぺい率・容積率を理解して土地選びを行うことが重要です。
建ぺい率および容積率とは、それぞれ以下のようなものを指します。
建ぺい率 | 土地の面積に対して建築できる建物の面積(建築面積)の割合 |
容積率 | 土地の面積に対して建築できる延べ床面積(すべての階の面積の合計)の割合 |

建ぺい率、容積率は、いずれも自治体ごとに上限が定められています。
建ぺい率は1〜2階建ての戸建て住宅が建ち並ぶ「第一種低層住居専用地域」で30〜60%、戸建て住宅以外にも商業施設などが建てられる「第一種住居地域」で50〜80%が目安です。容積率は、住宅用途に限れば100〜200%が一般的です。
たとえば面積が60坪で、建ぺい率が70%、容積率150%の土地の場合、最大で建築面積42坪、延べ床面積90坪の住宅が建てられることになります。
必ずしも土地面積いっぱいに住宅が建てられるわけではないことを理解して、希望の規模の住宅が建築できる土地を選びましょう。
高さ制限
土地には建ぺい率・容積率以外に、以下のような建物の高さに関する建築制限が設けられており、これにより建てられる建物の高さが決まります。
道路斜線 | 接している道路の幅員にもとづいて計算する、道路側に面した建物部分の高さ制限 |
高度斜線 | 敷地の境界線からの距離にもとづいて計算する、建物部分の高さ制限 |
土地の高さ制限を知っておかないと、土地購入後に希望の規模の住宅を建てられない可能性があります。
他にも、絶対高さ制限や隣地斜線制限など複数の高さ制限があり、用途地域によって定められているものが異なるので、用途地域を確認する際にあわせてチェックしておくとよいでしょう。
地盤状況
住宅を建てる土地を選ぶ際は、地盤状況を確認することが必須です。
地盤の耐力が十分ない場合は、地盤改良工事や杭打ち工事が必要になります。
また、地下室をつくりたい場合は、地下水位も確認しましょう。地下水位が高いと、地下室をつくれないことがあるためです。
地盤状況を確認するためには、地盤調査が必要です。地盤調査は原則として土地購入後でなければ行えませんが、売主との交渉次第で購入前に実施できる場合もあります。
購入前に地盤調査を実施できない場合は、各自治体が作成・公開しているハザードマップや古地図などをもとに地盤状況を調べるとよいでしょう。
災害リスク
長く安心して暮らせる注文住宅を建てるために、土地の災害リスクについても確認しましょう。過去に土砂崩れや浸水被害などがないかチェックしておくことで、災害に備えた家づくりができます。
また、ハザードマップも災害リスクを予測するのに役立ちます。ハザードマップについては、土地の売買契約時にも説明されますが、購入前に確認しておくと安心です。
土地探し・土地選びを効率的に進めるコツ

理想の土地を効率よく見つけるためには、以下のようなコツがあります。
- 理想のライフスタイルや将来の暮らしをイメージする
- 土地の希望条件に優先順位をつける
- 建物の相談と並行して土地を探す
土地探し・土地選びを効率的に行い、希望に合った土地を見つけましょう。
理想のライフスタイルや将来の暮らしをイメージする
土地探し・土地選びを効率的に行うためには、最初に理想のライフスタイルや将来の暮らしをイメージすることが大切です。土地探しを行う前に住宅建築後の生活をイメージしておけば、自ずと土地に求める条件が明確になり、土地が探しやすくなるでしょう。
たとえば、家族や友人を集めてホームパーティーをしたいなら、広々とした土地が必要です。老後に静かにのんびりと暮らしたい場合は、閑静な郊外の住宅地が選択肢となるでしょう。
現在だけでなく、20年後、30年後の生活もイメージしながら土地の情報収集・選定を行うことで、長く快適な暮らしを維持できるようになります。
土地の希望条件に優先順位をつける
土地の希望条件に優先順位をつけることも、効率的な土地探し・土地選びのコツです。
希望の条件に合った土地が見つかるに越したことはありませんが、必ずしもすべての希望条件を満たす土地に出会えるとは限りません。実際の土地探しでは、一部の条件が合わず、妥協しなければならないケースもあります。
そこで、希望条件に優先順位をつけておけば、候補の土地が挙がったときにスムーズな判断がしやすくなります。「これだけは譲れない」と思う条件を明確にして、候補の土地を絞り込みましょう。
建物の相談と並行して土地を探す
理想の住宅条件に合った土地を見つけるためには、建物の相談と並行して土地を探すのがおすすめです。
土地探しと建物の相談を別々に行うと、せっかくよい土地に巡り会っても希望の建物を建てられない場合があります。たとえば、3階建ての住宅を建てたいと思っても、建築制限を知らずに土地を先に購入した場合は、高さ制限により建てられないなどの事態になりかねません。
反対に、土地探しも建物の建築と一緒に相談すれば、土地に満足していなくても、総合的に見て満足度が高い住宅が建てられる可能性があります。また、総予算が決まっている場合は、建物の相談と並行して土地を探すことで、予算内で希望の住宅を建てられる可能性が高いです。
住宅会社のなかには、建物のプランと土地探しを一緒に行ってくれるところもあるため、相談してみるとよいでしょう。
まとめ
希望の土地がなかなか見つからない場合、以下の方法を試してみましょう。
- 保留地を探す
- 競売・公売情報を調べる
- 古家付き土地を探す
- 空き家・空き地バンクを利用する
- 訳ありの土地も視野に入れて探す
土地探し・土地選びにお悩みの場合は、土地と建物の相談を一緒に行うことをおすすめします。
山川設計では、「理想の住宅を建てるには、どのような土地が最適なのか」の観点で、土地探しの段階から施主様に寄り添ってサポートいたします。単に不動産会社を紹介するだけでなく、土地探しの段階から設計士が介入し、建てようとしている住宅イメージを見据えて一緒に土地を探させていただきます。
相談は無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。